2007年5月号 「和睦」

Column
知的財産のお話― どんな発明が特許になるの?

(社)日本国際知的財産保護協会
理事長 吉田豊麿

前回の「どんな発明が特許になるか」の続きです。


3. 容易に思いつくものではないか。

従来からある技術をほんの少し改良しただけの発明、誰でも簡単に出来る発明は特許を受けることができません。特許制度の目的は産業の発達を促進することにあるわけですが、そのために、良い発明、即ち、産業の発達に役立つ発明にのみ一定期間その発明の技術を独占的に使用することを認めるのです。それによって、発明者はその発明をするのに要したコストを回収し、それを次のさらに優れた発明のために使って更なる産業の発達に貢献すること、および独占権を与える事の代償にその発明を公開させて第三者がさらに優れた発明をするきっかけを与える事を期待しているのです。

ですから、それと全く同じ発明はそれまでなかったとしても、それが必要であれば誰でもすぐにできる程度の発明にまで独占的な権利を与える事は、むしろ制度の目的に反する事になるので、何のヒラメキも格別の工夫もない発明には特許を与えないようにしているのです。その際、その発明が容易に思いついたものかどうかの判断はやはりその技術分野の専門家である審査官がおこないます。ただその場合、容易に思いつく程度の発明かどうかの判断は、絶対的な判断基準があるわけではなく、審査官の判断に委ねられているので、つねに100%正しいというわけにはいかない危険もあります。それで審査官は、容易に思いつくことが出来たと判断したときは、その理由を発明者に通知して、反論があればそれを申し述べる機会を与え、また必要に応じて申請書類を手直しできるようになってます。


4. 同じ発明が先に申請されていないか。

発明者は自分が独自に発明したものを申請するわけですが、偶然にも同一の発明をまったく関係のない他人が申請することがしばしば起こります。ところが、特許法では、複数の人が同一の発明をおこなって特許の申請をしてきた場合に、それらが全く独立になされたものであっても、複数の申請者に同じように特許を与えることはなく、一番最初に申請し一人にのみ特許が与えられる決まりになっています。

この連載の第13回に、電話の発明については、ベルとグレイが同日に申請してきたが、グレイはベルに2時間遅れて申請したので、特許はベルに与えられたと言うお話をしましたが、韓国も日本も申請の先後関係は時間単位ではなく日単位で見ますので、同日に申請された複数の申請は同時に申請されたものとして取り扱い、申請者どうしで協議を行って誰か一人が特許を受けるように決めることを勧めますが、協議がまとまらないと誰も特許をうけられないきまりになっています。


5. 産業上利用できるか。

ここまでのチェックを無事通過すれば。特許が与えられる可能性がかなり出てくる事になりますが、これで十分というわけには参りません。特許を受けるためには、その発明が産業上利用できるものでなければならない事が特許法に規定されております。このことは、特許制度の目的が産業の発達にあることを考えれば当然の事ですね。

それでは、ここで産業とは何をさすかと云うことですが、普通に産業と言うときには生産業の意味である事が一般的なので、工業,鉱業、農林水産業、漁業、牧畜業などが含まれる事には異論がないのですが、運輸、通信、金融,広告などのサービス業についてはいろいろ議論がありました。しかし、最近は韓日ともにこれらのサービス業もビジネス方法特許と言う形で特許が認められるようになっています。

次に、利用できるとはどんなことでしょうか。単に学術的、実験的にしか利用できないような発明は産業上利用できるとは謂わないようです。また、アイデアとして理論的には可能であっても、実際には実施できないようなもの、例えば、地球と月とを結ぶ連絡橋などはダメでしょうね。

(社)日本国際知的財産保護協会 http://www.aippi.or.jp/

 

知って得するワンポイント会話― 「장가들다(ジャンガトゥルダ)」

장가들다 (男性が)結婚する
A : 댁의 아드님은 장가들었어요?
B : 아직이에요.
장가를 가려고 하지 않아요.
A : 빨리 장가를 보내야 되겠네.
A : お宅の息子さん、結婚したの?
B : まだなのよ。
結婚しようとしないのよ。
A : 早く結婚させないとね。

解説 :「장가를 보내다(結婚させる)」、「가다・들다(する)」と表現する場合は、 「장가로」ではなく「장가를」となります。また省略もできます。

韓国では、男性が結婚することを「장가들다(ジャンガトゥルダ)」と言い、妻の実家に入ると言う意味です。韓国の高句麗時代(紀元前37年頃-668年)の風習として、結婚した男性は礼儀として、まず妻の実家に入り、新しい部屋を設けて第一子を産むまでは使用人のごとく働き仕えていました。「장가들다」の「들다」は入るという意味ですが、これは妻の実家に入って一時同居し、後に出るというところから使われるようになったと言われます。

今日でも韓国古来の伝統を重んずる家系では、妻の家で結婚式を挙げてそのまま3日間妻の実家で過ごすところもありますが、その名残りです。一般には「장가가다(チャンガカダ)」と言います。

 

 

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